2025年度 慢性上咽頭炎の研究について
1. 既存内視鏡画像を用いたAIによる慢性上咽頭炎所見の客観化に関する後ろ向き研究
【研究目的】
本研究は、慢性上咽頭炎と診断された症例に対して過去に実施された内視鏡検査の画像記録を対象に、AI画像解析による炎症所見の客観化を検討する。
通常光下で評価可能な「色調」「腫脹」「粘液・痂皮付着」「擦過時出血」の4項目に加え、OEmode1画像において認められる黒斑、敷石顆粒状変化などの特徴的所見に対し、AIによる自動分類とスコア化を行うことで、診断支援技術の有効性を後ろ向きに評価する。
【研究背景】
慢性上咽頭炎の診断は医師の観察力や経験に依存しやすく、診断の再現性や教育的整合性に課題がある。
OEmode1画像では微細病変が強調され、慢性上咽頭炎に特有の所見が明瞭に描出されるため、AIによる画像分類技術の応用が期待される。
【研究方法】
■対象症例
– 期間:2016年9月〜2021年8月
– 対象:慢性上咽頭炎と診断され、内視鏡検査を受けた成人初診患者
– 条件:通常光およびOEmode1画像が保存され、解析に適した画質・構図であること
– 症例数:200名
-研究期間:2025年10月1日~2025年12月31日
■画像取得・評価項目
– 通常光:色調、腫脹、付着物(出血は補助項目)
– OEmode1:黒斑、敷石顆粒状変化など
– 医療記録から静止画・動画を抽出し、匿名化処理後に解析
■AIモデル構築
– Focus-S社協力のもと、CNN等の画像分類モデルを構築
– 主研究者によるアノテーションを学習データとして使用
– 専門医による妥当性検証を参照し、説明性・汎化性を重視
2. 慢性上咽頭炎の免疫学的病態解明と上咽頭擦過療法(EAT)の治療効果に関する前向き研究
【研究目的】
本研究は、慢性上咽頭炎患者における免疫構成(CD4/CD8、Th17/Treg比など)を定量的に解析し、上咽頭擦過療法(EAT)の免疫修飾効果を明らかにすることを目的とする。先行研究(Mogitate, Cureus 2023)に基づき、さらなる病態解明と治療指標の確立を目指す。
【研究背景】
慢性上咽頭炎は、局所症状のみならず、IgA腎症や長期化するCOVID後遺症などの全身性疾患との関連が報告されている。上咽頭粘膜は免疫学的に活性な部位であり、IgA・IgG産生B細胞、CD4陽性T細胞、樹状細胞などが存在する。EATは、局所症状の改善に加え、免疫修飾効果が示唆されており、CD4陽性T細胞の減少、呼気NO値の低下などが報告されている。
【研究方法】
■対象症例
– 期間:2025年11月3日〜
– 対象と方法:慢性上咽頭炎と診断され、内視鏡検査を受けた成人初診患者 40名および健常者10名。
血液検査および上咽頭擦過細胞のフローサイトメトリー解析を行う。
検査項目は、CD4/CD8/CD3、Th17(IFNγ/CD4/IL-17 )、Treg(FOXP3/CD4/CD25)。
※前向き研究は登録が必要で、検索することができます。臨床研究情報ポータルサイト
