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上咽頭擦過治療を希望される患者さんへ。受診前にお読みください。

ネット検索で「EATは痛い!」と書いてあるため受診に対し不安を抱えている患者さんもいらっしゃると思います。

痛みに対する感じ方は人それぞれで、受診してE-EAT(内視鏡下の上咽頭擦過治療)を受けて「思ったより痛くなかった!」と仰る患者さんもいらっしゃいます。

また個人的に長年この治療を行っており、内視鏡挿入前の局所麻酔(キシロカインの鼻内噴霧)、綿棒による局所麻酔を行いながら、EATを受ける患者さんが「耳鼻科の処置が不向き!?」かどうかもわかるものと思っています。
経鼻処置はできる!?経口処置はできる!?方も若干名いらっしゃいます。
ここ数年はご本人に合わせた治療を心がけようと思っています。

慢性上咽頭炎に対する治療はEATのみであり、薬は補助的(副次的)な治療法と考えています。
有効な治療がEATしかなく、1人でも良くなって頂きたい気持ちがあります。そのため、初回E-EATはしっかり局所麻酔をして、診断(上咽頭を擦過することにより出血するか?)に留める程度で終わりにする場合もあります。
個人的に治療のレベル(強さ)を5段階に分けてEATを行っています。しばらく弱い治療を希望される患者さんにはレベル2程度の治療を続けて経過観察します。
「弱い治療だと治らない?」「強い治療の方が治りやすい?」と聞かれることがあります。治癒への道のりは患者さんによって異なります。即ち弱い治療で3ヶ月で治る患者さんもいらっしゃいます。弱い治療で治らない患者さんは強い治療が必要だと思っています。強い治療を行っても良くならない場合は、自律神経症状がメインの場合はEATを継続することによりいい状態を維持する!という考え方もあります。また認知面の問題もあります。

1回の治療では症状が軽快しません。週1~2回を3~9ヶ月間この治療法を行う必要があります。継続的に6か月、24回の処置で6~7割の患者さんの症状が改善されると考えています。

治療に痛みを伴い通院加療が必要です。この点とご自身の症状とを天秤にかけ、治療を希望の場合は受診し治療を続けてください。

 

~初回E-EATによる慢性上咽頭炎の診断~

慢性上咽頭炎に対する決まった診断はまだ確立されていません。

この治療を始めた堀口申作先生は「Bスポット療法(EAT)を行うと上咽頭から出血し、患者は疼痛を自覚する」というのがあります。

 

EAT前の上咽頭内視鏡所見             EAT後の上咽頭内視鏡所見

 

 

内視鏡所見のように、一見正常な上咽頭もEATを行うと出血します。

ですので、現時点で初回E-EAT時に出血を来さない患者さんは治療効果が少ないことが予想され、治療の対象とはしていません。

 

他の項目でも説明していますが、EATの3つの効果

①塩化亜鉛の消炎効果(抗炎症効果・収斂効果)

②瀉血効果:脳脊髄液・リンパ液・静脈還流の改善、老廃物の除去

③自律神経刺激効果:迷走神経機能の改善、炎症反射の改善

のうち②の瀉血効果がないだけであり、自律神経症状が主な患者さんは出血しなくてもEATの効果を期待できる可能性もあります。

この場合は、初回E-EATの結果をきちんと説明し、治療希望の場合は対応させて頂く場合もあります。

 

~初回治療後の不利益(副作用)~

処置により数時間痛みを伴い、血の塊や血の混ざった痰が数日続く場合があります。

治療効果の1つが副交感神経刺激作用で、痛い治療なのに体はリラックスする方向に進みます。が、鼻の中は逆で数時間くしゃみ、鼻水が続きます。

処置により医原性の風邪をひいた状態になるため、熱発、一時的なだるさの悪化などの症状を来します。免疫に作用するためです。処置の回数が増えると
これらの不利益は少なくなっていくものと思っています。

 

個人的にこの治療を長年やっており、また論文投稿をしたり、学会発表を行っていることから慢性上咽頭炎や上咽頭擦過治療(EAT)についてはきちんとした対応が出来るものと思っています。ご質問がある場合は診療中にお聞きください。

 

下記は上記内容のYouTube動画です。クリックするとYouTubeに飛びます。